tawagoto9776Kayama’s diary

60歳から1年後に会社を退職し、登山、ジョギング、キャンプ、料理等々の執筆を始める。

非正規雇用労働者になって  その実態を目の当たりに経験

                                                                                                    61歳のたわごと No. 17
  しばらく投稿していなかったが、60歳から1年だけ以前勤めていた会社を延長していたが退職し、体が弱ってきて動けない母親の代わりに、資産整理等々を手伝った後、新たな仕事を就くこととなった。
  その新しい仕事に就いた後に、生活がかなり変わったことから、なかなか以前のようにブログを記述するための気持ちのゆとりが持てず、記述を開始することができなくなっていたが、生活が落ち着いてきたので、今このように再度開始するに至った。
  今の仕事を始めるにあたり、正直に言って少々衝撃を受けた。従ってこの衝撃について、この度は記述してみたいと思う。

 

正規雇用者として勤務


  私は以前働いていた会社まで自分の立場は、正社員であったが、そのことが別段特別なことでも何でもなく、ごくと普通のこととして、今まで のほほん と過ごしてきた。
しかし改めて、61歳の年齢になり、正社員の立場は望めないことから施設警備の仕事である契約社員となった。いわゆる世間一般で言われている、非正規雇用労働者に属する立場である。20日程勤務して税込みで月に20万前後の賃金が支払われるが、私の子供たちの学業終了までの費用を何とか確保していることから、この賃金の金額でもよしとせざる負えない状況である。


  しかしその労働に就くことを正式に会社に認められていながら、“非正規雇用”と呼ぶのは何かおかしな気がするが、いわば“非正規雇用”とは時間払い雇用、日払い雇用 というような実態であろうか。ここではそのまま一般的に使用されている“非正規雇用”という言葉で記述することとする。

 

正規雇用労働者についての定義


  インターネットから得られた情報ではあるが、ここで簡単に正規雇用、と非正規雇用について以下に記載する。
正社員のように期間を限定しない契約を“正規雇用”、とそれ以外のパートやアルバイト、契約社員、また定年を過ぎ嘱託社員等々を“非正規雇用”と区別しているようである。総務省の情報によれば、日本の非正規雇用者の割合は38.2%ということらしいが、ここでパートとアルバイトは厳密な区別の違いはないようで、強いて言えば、学生が短期で働く場合はアルバイト、主婦のように比較的長期で働く場合は、パートと呼ばれているようである。

 

正規雇用者の実態


  当初私は、この仕事に就く前までは、自分と同じような立場であるサラリーマンの定年を過ぎた人たちが働く職場であろう、と考えていたがその実態は異なっていた。確かにサラリーマン上がりの人も何人かは職場にいるが、どちらかといえば、少数派であり、その多数派は長らく非正規雇用労働者として定年前も働いてきた人たちであった。彼らは私と同じく60歳を超えている人たちであるが、中には若い世代の人も勤務している。
  このような非正規雇用労働者が多い状況は、おそらくは地域によってその状況は異なるのであろうことは予想されるが、それにしても定年前から長らく勤務している非正規雇用労働者が多いことに正直おどろいた。

 

  非正規雇用は、通常月20日程勤務して残業、夜勤を含まない場合、税込みで20万円前後の月収であるのが一般的であるが、彼らの今までの賃金が定年前もずっと20万円程であったことを意味する。
  この賃金では家族を形成して養っていくことは、不可能とは言わないまでも、かなりの困難を伴うことになることは、いままで自分で家族を養ってきた経験から容易に想像できる。


  また基本的には、時間勤務払い 又は日払い勤務払いとなるため、夏休み、冬休み等々の会社が定めた給料が支払われる休みが無い。働いた時間、日数に対してのみ給与支払いがされるため、できるだけ給与を受給するために、長期の休暇を取らずに働くことになってしまう。


  中には母親と同居して、二人で住んでおられる人もいるが、当然病院等に母親を連れていく場合は、仕事も休むことになり、給与も支払われない。
  また、自宅であるワンルームの部屋に戻ると、出来るだけお金を使わずに済むためか、いつも敷いてある布団にもぐっている、という人もいる。要するに生活する上で心の余裕が持てずにいるのではなかろうか。
  若い世代、(40台前半の年齢)の従業員もいるが、その同僚は今の境遇から抜け出して他の職場に転職する意欲も低いようにも思う。本人曰く40歳を過ぎると非正規雇用の職しかない、と言う。


  パートとアルバイト、60歳以降の嘱託社員は私が働き始めたころからある労働形態であったが、それ以外の非正規雇用者の存在は、少なくとも私が働きだした頃の40年近く前は、ほとんど聞かれず、会社に入社したら、正社員が少なくとも当たり前であったように思う。しかし一般的な働き手が長らく非正規雇用者であり、その数が私にとって予想外に多いことに正直なところ大いに驚いた。また比較的長く勤めていると正社員の場合はある程度の給与の額が増える傾向にあるが、それが全くない非正規労働者の厳しい現実を目の当たりにした。

 

正規雇用者の背景及び今後の状況


  私が通っている職場は、周辺に多くの大型物流センターがあるような地域で、どうも非正規雇用者が私の勤務先以外にも大勢働いているように思われる。駅からその地域に出発するバスに、朝早くから大勢の労働者が乗車する。外国人労働者も多数いる。おそらくこのような地域であるため、なおさらトラックからの荷卸し作業、荷積み作業、仕分け作業、施設警備等々のいわゆる単純作業に従事する人々多いように思われる。


  私が働きだした40年ほど前は前述したとおり、自社社員がすべての作業を行っていたようにも思われるが、年々各市場における競争が激化していくにしたがって、安い労働力が確保できる外部委託会社に、人材を求めるように移行していったものと思われる。初めは、派遣社員とよばれる職種があり、彼らは働きたい時間に仕事ができる、ということで、若い人たちにも浸透していったが、職種にもよるのであるが、非正規雇用労働者は単純作業に属する職種に関しては、安い賃金に抑えられて、企業間の低価格競争の助長するための無くてはならない労働者になっていったのではなかろうか。


  最近どうも正社員でない人々がかなり増えている、と聞いてはいたが、実際にその実態を目の当たりにすると、人々の間でも格差がさらに広がっていることを、まざまざと実感した次第である。
  今後外国人労働者が日本にも増えていく状況の中で、非正規雇用者の立場はますます厳しくなっていくかもしれない。しかしこれではいくら少子化問題を解決しようとしても、家族を形成すること自体が厳しい非正規雇用労働者にとっては、少子化問題は解決がむずかしいのではないだろうか。


 また日々の電気、水道、ガス等々の日本のエネルギー効率の観点からみても、家族を形成しないで一人で生活すると、人口が少なくても世帯数が多いため、エネルギー消費効率がどうしても上がらないのではないだろうか。


 この方面の専門家でもない私にとっては、この現状を改善するための打開策を述べる資格はないが、今後は非正規雇用者でも安心して家族を形成してと暮らせるような社会に少しでも近づけるよう、政府には対策を考えてもらうことを、お願いするだけである。
                                                                                                                    香川 潤(記)